2015年5月9日土曜日

なぜデジタル改革が進まないか?

ある大手流通企業からeCommerceがうまく行かないということで相談にのることになった。

なぜベンチャー企業はどんどん成長している企業が多いのに、大企業はイマイチなのかは重要な一つの論点だろうと思います。 担当になったリーダーの能力が低いのではなく、一言でいえば、大企業は「本気になれない」ということだと思います。

流通業のeC主体で大きくなっているところは楽天と外資くらいです。高成長を続けるエニグモなど専業の多くは売上が数十億、営業利益十数億に満たないです。

優秀な人が必死になってやって成功してこれくらいの結果です。売上が1兆円を超える大企業にとってその中に紛れてしまうとインパクトが小さすぎます。ですから、eCは経営者は取り組みの必要性を強く感じているものの、真剣になって大胆に資源配分をシフトする気になれないのだと思います。

供給側の理由もあると思います。 この分野には多くの専門家がいますが、とても細分化していて、専門用語も多用され、専門家の話を聞いても、経営者の方が、大企業にとってインパクトのある変革につながるストーリーが描ける人がとても少ないのだと思います。

この課題って実は、環境問題がホットであったときの、「スマート」や「グリーン」の時と似ています。日本企業は省エネやごみを削減するなど個別に新規事業を起こしたり、改善活動を行ったりしました。 ただ、大企業にとって大したインパクトがないため、多くの企業は一時のブームでおわりました。一方、欧米の優れた企業では、「Green Refresh」といって、グリーンを切り口に、企業戦略からすべてのバリューチェーンまでトータルに見直しました。(興味がある方はGreen to Goldという本にMethodologyが出ているので詳細は見ていただければと思います。) その結果、ビジネスモデル、営業スタイル、物づくり、管理部門などすべてが変革され、売上向上、コスト削減、業務効率とスピードの革新的な向上が見られました。

そうしないと1兆円+の企業経営者が真剣に取り組むことができないのです。

デジタルも一緒だと思います。流通業は顧客の多様なニーズ(=ロングテールニーズ)にリアルな店舗だけだと対応できないですし、対面のコミュニケーションだけだと様々な手段を使い分ける顧客に対応できないわけです。多くの流通業の店舗はテクノロジーの進化に対応できず、古臭くなってきています。

私はデジタルをキーワードに会社全体を見直すことをお勧めしたい

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