ちょっと怪しいかなと思ったのですが、田中宇さんの金融世界大戦という本を読んだ。私はあまり日本人のビジネス書を読まないですし、特に、バックグラウンドの不明確な人の本は読まないことにしています。 しかし、世の中が米国の経済が絶好調のような論調がふえていたのが何かしゃくぜんとしないと思い本を探していました。
米国好景気、債券の安全性などについて異論を唱える人の意見をよんでみたいと思ったので仕方なく買ってみました。
この本は期待以上に説得力があった。
一つのキーワードが「多極化」です。 「帝国主義」vs「資本家」
私は10年くらい前には講演とかで多極化について、資本の動きや市場の観点から多極化を語っていたが、まったく本質的なところはわかっていなかったんだなと思い恥ずかしくなった。英米を主としたドルの基軸通貨とした金融システムと基軸通貨が多極化した金融システムの戦いがあるという構図ではとらえていなかった。 英米型のドル基軸通貨派は帝国主義と関連し、多軸通貨派は「資本家」が味方する。米国が覇権を破棄したほうが、世界の経済成長率が最大化されるため資本家は多極化を支援している。 そのため、米国、欧州の内部でも帝国主義と「資本家」が戦っている。
多極化の優勢が強くなってきているが、優勢が明確化してきたら、ドルや債券は崩壊するという。
2つめが、「債券」vs「金(Gold)」
米国覇権の金融システムは「債券」の継続する拡大により支援されている。QEという発明により、債券の中央銀行による買い取りで拡大を続けることができた。まだ、欧州と日本はこれからQEをするが、欧州はECBができるのは20%程度で80%は各国に任せているという。すると、QEは欧州ではあまり行われない可能性がある。一方、日本だけは米国に代わってQEを支え続ける。
中国は金の購入額を7年程度公開していないが、かなり増やしているらしい、ロシアも増やしている、その他の新興国も金の保有を増やしている。
米国は政府の現物の金を貸出し、金売りを仕掛けて金の相場を下げているという。
また、中国はアジアにおいて国境にまたがった銀行を設立しており、日米主導のインフラ支援のための銀行やIMFに代わる仕組みを構築しようとしている。アジアの基軸通貨としての人民元の位置づけは着実に進行している。
ドルの弱体化は人民元の貿易にしめる割合、債券価格の低下、金の上昇などが症状としてあれわれていく。
3つめが、アメリカの統計の信頼性のなさ
ここはどのような根拠があるか不明だが、失業率やGDPが操作されているというらしい。消費者物価指数については算入する項目を変えることで操作していることは聞いたことがあったが、驚きでした。
いくつかの信じられない点もあるが、大方のストーリーは視点として面白いと思う。
彼のストーリーの方が現状の市場をうまく説明できる気がする。
これを受けて投資の方針を再考してもいいかと思う。
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